今回はタイトルにある通り、日経平均(N225)入替に伴う、ロングショート戦略について検証を実施しました。
昔からある古典手法ではありますが、ネット記事を探したうえでは詳細な検証をしている記事はありませんでしたので、今回は検証をさせて頂きました。
検証は株システムトレードのイザナミの外部環境の取り込みを用いて検証を実施しています。
外部環境を取り込むことによる検証方法は後日記事にしようと思っています。
目次
取引手法について
日経225銘柄の入れ替えが1年に数回実施されていることがご存じでしょうか?
こちらの入れ替えが発表されますと、証券会社が実施している日経225連動型の商品(主にETFや投資信託)の内容を修正する必要があります。
具体的には所有している除外銘柄を売り、所有していない追加銘柄を購入します。
今回の手法はそれに合わせて売買を実施するというものとなります。
また、本手法は基本的にロングとショート同数が発表されるため、信用取引を用いて両建てを実施します。
ロングとショートを同額ずつ持つことで、相場自体の上げ下げの影響を小さくしてトレードすることができます。
検証
共通バックテスト条件
〇2000年以降のすべての入れ替え銘柄を対象
〇日経225除外銘柄を売り
〇日経225追加銘柄を買い
検証① 入れ替え後にポジション
〇仕掛け条件
入れ替え当日の朝に成り行き注文
〇手仕舞い条件
一定時間後(可変)にて手仕舞い
(10日、20日、40日、60日、120日保有で検証)
結果
買い取引(追加銘柄)の場合
10日保有期待値@-4.11%
20日保有期待値@-5.89%
40日保有期待値@-7.30%
60日保有期待値@-6.24%
120日保有期待値@-6.93%
売り取引(除外銘柄)の場合
10日保有期待値@+0.45%
20日保有期待値@+2.05%
40日保有期待値@-2.28%
60日保有期待値@-7.53%
120日保有期待値@-4.36%
検証② 入れ替え発表後にポジション?
〇仕掛け条件
入れ替え30日前の朝に成り行き注文
〇手仕舞い条件
一定時間後(可変)にて手仕舞い
(10日、20日、40日、60日、120日保有で検証)
「仕掛け条件は日数」、「手仕舞い条件は営業日」となっています。
結果
買い取引(追加銘柄)の場合
10日保有期待値@+1.69%
20日保有期待値@+1.88%
40日保有期待値@+0.94%
60日保有期待値@+2.09%
120日保有期待値@+1.12%
売り取引(除外銘柄)の場合
10日保有期待値@+5.34%
20日保有期待値@+7.08%
40日保有期待値@+11.44%
60日保有期待値@+9.84%
120日保有期待値@+7.63%
懸念点
30日前仕掛けとしましたが、日経平均入替発表のタイミングを過去さかのぼって確認した結果約1か月前でした。
場合により、30日前だとフライングによる取引があると考えられますので、本データは参考データという扱いに致します。
検証③ 入れ替え発表後にポジション
検証②の追加実験です。
入替の3週間前とすることで、発表後に仕掛けを実施します。
また、入替実施後は成績低下傾向の為、1週間刻みで5週間(30日)までを検証とします。
〇仕掛け条件
入れ替え21日前の朝に成り行き注文
〇手仕舞い条件
一定時間後(可変)にて手仕舞い
(10日、15日、20日、25日、30日保有で検証)
「仕掛け条件は日数」、「手仕舞い条件は営業日」となっています。
結果
買い取引(追加銘柄)の場合
10日保有期待値@+2.30%
15日保有期待値@+6.09%
20日保有期待値@+4.67%
25日保有期待値@+3.06%
30日保有期待値@+1.75%
売り取引(除外銘柄)の場合
10日保有期待値@+6.22%
15日保有期待値@+9.13%
20日保有期待値@+10.39%
25日保有期待値@+9.05%
30日保有期待値@+8.59%
検証③ 詳細検証
条件
下記で取引条件を固定した場合の詳細を確認します。
〇仕掛け条件
入れ替え21日前の朝に成り行き注文
〇手仕舞い条件
15営業日保有にて手仕舞い(保有3週間後)
〇資産1億円(すべての銘柄を均一に買うため)
〇1銘柄仕掛け金額は500万円を上限とし、最大金額で仕掛ける
結果
勝率 | 70.59% |
平均利益 | 11.79% |
平均損失 | 8.14% |
ペイオフレシオ | 1.5 |
PF | 3.6 |
期待値 | 5.93% |
結果としては高勝率、リスクリワードレシオも1以上と扱いやすいトレードルールなのではないでしょうか?
資産推移とそのグラフを上記に貼りましたが、負ける年こそありますが負け額は限定的です。
トレード機会は少ないものの、トレード単位の期待値が高いため期待を持てるルールと思います。
成長率は昔のほうが良いように見えますが、N225の入れ替えの回数自体が昔のほうが多いようです。
年に数回の入れ替えをしています。
逆に近年は年に1回多くても2回程度となっているため、相対的に資産成長率が下がっているものと考えます。
また、トレード環境が整ったことでシステムトレードでもそうですが、エッジの早期喪失が考えられます。
参考として30日前仕掛けのグラフを記載します。若干のフライング疑惑はありますがこちらが本来の優位性部分と考えられます。
参考資料 30日前仕掛け結果
勝率 | 70.83% |
平均利益 | 12.95% |
平均損失 | 8.15% |
ペイオフレシオ | 1.29 |
PF | 3.13 |
期待値 | 6.80% |
検証④ 負荷実験
最後に負荷実験を実施します。
2週間前に仕掛けた場合の優位性を検証します。
条件
〇仕掛け条件
入れ替え14日前の朝に成り行き注文
〇手仕舞い条件
10営業日保有にて手仕舞い(保有2週間後)
〇資産1億円(すべての銘柄を均一に買うため)
〇1銘柄仕掛け金額は500万円を上限とし、最大金額で仕掛ける
結果
勝率 | 63.11% |
平均利益 | 10.10% |
平均損失 | 7.40% |
ペイオフレシオ | 1.14 |
PF | 1.95 |
期待値 | 3.64% |
21日前仕掛けと比べると大幅に成績が悪化していますが、優位性自体は残っていることが分かります。
詳細検証データ
上記では簡単な数字を記載した形になっております。
検証結果をエクセルにスクリーンショットにて記録しておりますが、枚数が多いのでまとめてDL出来る形と致しました。
個別に気になる方はこちらをご覧ください。
N225検証結果個別個別DLリンク
総括
データを大まかに確認した感じでは優位性自体はありそうです。
仕掛けは早いほうが有利で、手仕舞いは入替日前後が一番よく入替日から離れるほど優位性は低下するようです。
今回の検証では発表日を概算で実施しているため、実際には発表の翌日に成り行きで仕掛けを実施、入替日の前日くらいに手仕舞いするのが良いのではないでしょうか?
そうすると30日前仕掛けに近い結果になるのではないかと考えています。
また、発表後にしばらくしてから仕掛けてもある程度の優位性が担保できるということから、裁量にて発表後の押し目・戻り目で仕掛け利益が乗った時点で決済をするという形で運用することで近年の低成長に対応できる範囲と考えています。
指値・逆指値による利確と損切については今回の検証結果には含めていませんが一応データは取っておりまして、取らずに最後まで保有したほうが良いという結果でした。
また、ロングショート戦略の上でも片側だけ決済という結果は望ましくないと思うので、ブログ上では省略させていただいています。
余談
最後までご覧いただきありがとうございました。
悪くない結果であるとともに、今回のトレードは対ETF、信託会社となるトレードとなっております。
日経225連動型商品を保有している会社は損失が出ることをわかりながらも「連動」商品を持っている以上上記の取引をしなければなりません。
このようなトレードは個人が行う分にはパイの取り合いにはならないものと考えています。
そのため、今回は公開することといたしました。
トレードで勝てないと考えている方は、こういった考え方によるトレードがあることを知っることで今後のより良い投資活動をして頂けると幸いです。
それでは(/・ω・)/